はぎしりを予防~緩和するためにはナイトガードというマウスピースを装着して就寝するのがベストです。
はぎしりには種類があります
はぎしりには大きく分けて、歯を横にずらしながらこすり合わせるタイプのもの、上下にぐいぐいと押しつけるタイプのもの、カチカチ小刻みにかみ鳴らすタイプのものがあります。
これらは単独で起こっていることもありますし、複合的に起こっていることもあります。
自分がどのタイプのはぎしりをしているかは自分ではわかりません。それ以前に自分がはぎしりをしていることに気づいていない人も多いようです。
はぎしりの特徴
はぎしりは無意識のとき、おもに睡眠中にしていることが多いようです。はぎしりの結果、想像以上に強い力が歯や歯周組織に加わります。
起きている状態で、意識して奥歯を強くかみ合わせたときの圧力が体重とほぼ同じくらいであるのに対し、寝ている間、はぎしりによってかみしめた圧力は、なんと体重の約2~3倍なのです。
これほどの力が加わるのですから、からだに良いわけがありませんよね。
はぎしりを放っておくと、歯がすりへる、あごの関節症状(顎関節症)が起きる、歯がぐらつく(歯周病)などのような現象が見られるようになります。
全体的にはぎしりが進行している症例を見てみましょう
下の写真は、はぎしりが全体的に進行して歯がすりへった結果、歯が短くなり、一部の歯において神経の露出が起こった状態です。そのため神経の治療をしているところです。
写真上段は歯をかみ合わせた状態です。なんとなく歯が短いのがわかりますね。
写真中段は前歯を拡大したところです。上の歯は元の歯の長さの2分の1くらいにまでけずれているようです。下の歯は元の歯の3分の2くらいの長さになっています。
はぐきに目を移しますと、はぐきの中ほどが丸くふくらんでいることがわかります(写真上段)。これははぎしりを長年続けたことによって起こった骨隆起(こつりゅうき)という骨の変化です。骨隆起自体は特に病的なものではありませんので、骨に対する処置は必要ありません。
上の歯のけずれ方がとても特徴的です(写真下段)。よく見るとけずれているのは前歯だけで、奥歯があまりけずれていません。この状態から、この方が典型的な「前がみ」タイプであることがわかります(前歯でかむくせがあるという意味です)。
前がみタイプになる原因はさまざまですが、もともと上下の前歯が先と先でかみ合っている状態(切端咬合)の方や、ウメボシの種やひまわりの種などのようなかみごたえのある食品を前歯ですりつぶすくせのある方に多く見られるようです。
この方は寝ている間に強い歯ぎしりをするだけでなく、日中も前歯でかたいものをかんでいるということでした。
はぎしりを完全に治す方法はありません
はぎしりを完全に治す方法はありませんが、緩和や予防をすることは可能です。その代表的な方法としてナイトガードというものがあります(健康保険適用)。
ナイトガードを装着することで歯のけずれ、歯周組織やあごの関節のダメージを少なくすることができます。
ナイトガード(マウスピース)を装着して寝ましょう
このようなナイトガードと呼ばれるマウスピースを装着することによって、とてもリラックスした深い睡眠が得られるようになります。
ナイトガードははぎしりによって生じる音もある程度おさえることができますので、同室の方もすごしやすくなります。
中には、さほど強いはぎしりではないけれど、予防を目的としてナイトガードを使用している方もいます。
一部にはぎしりが現れている症例
一見なんともなさそうに見える口元ですが、じつはこの方も歯ぎしりをしています。特に上まん中から3番めの歯(犬歯)とひとつ手前の歯が、下の犬歯とこすれることによって、徐々にけずれていったようすがわかります。このケースはさほど強くないレベルのはぎしりです。
ナイトガードについてのまとめ
ナイトガードは、食いしばりやかみしめ、横ずらしなどのいわゆるはぎしりを緩和、予防することを目的とした医療用具です。
おもに睡眠中や、日中ぐっと食いしばる作業を行なうようなときに装着します。使いはじめて間もないころは違和感があるため、やや寝苦しいこともありますが、数日で慣れてゆくようです。
ナイトガードは素材の硬さによってハードタイプとソフトタイプとに分類されます(厚さは1~2ミリ程度)。えとう歯科では、初めてナイトガードを使用される方にはまずソフトタイプのものを下の歯に装着することをおすすめしています。その理由は、装着感がよい(なじみがよい)こと、舌や唇の適度な圧力によってはずれにくいことなどがあげられます。
この記事のまとめ
はぎしりを予防~緩和するためにはナイトガードというマウスピースを装着して就寝するのがベストです。
この記事はサイト運営者のえとうよしたけが執筆しました。