えとう歯科では保険適用のうがい薬を2種類用意しています。ネオステリングリーンとアズレイうがい液です。日常的に使っていただくうがい薬は市販薬のリステリンをおすすめしています。
ネオステリングリーンとアズレイうがい液の特徴
みなさまにいつも使っていただいている「ネオステリングリーンうがい液0.2%(日本歯科薬品)」に加えて「アズレイうがい液4%(昭和薬品化工)」をご用意することにしました。
ネオステリングリーンの主成分はベンゼトニウム塩化物という殺菌性のある物質です。一方でアズレイうがい液の主成分は炎症を抑える効果のあるアズレンスルホン酸ナトリウムというものです。これらを口腔内の状態や治療目的に応じて使い分けます。
ネオステリングリーンは40mlでしたがアズレイうがい液は10mlと少なめですので使い切りやすい量だと思います。両方とも水で薄めて使います。
実際はアズレイ(右)のほうがだいぶ小さいです
成分の違いと使用上の注意点
ネオステリングリーンの成分
ネオステリングリーンには抗菌作用があります。これは主成分であるベンゼトニウム塩化物の薬理作用によるものです。
主な使用目的は口腔内の消毒(口腔内細菌のコントロール)です。当医院では抜歯後の使用はおすすめしていませんが多くの歯科医院では抜歯後にネオステリングリーンを処方しているようです。
えとう歯科の抜歯後に対する考え方
抜歯後は機械的な刺激、薬理的な刺激を加えずにそっとしておく必要があるということです。
また一方で自然に止血しない場合は小さくたたんだガーゼをかんで圧迫止血を行うということはあっても良いと思います。
アズレイうがい液の成分
アズレイうがい液にはネオステリングリーンのような抗菌作用はなく、主な作用は主成分であるアズレンスルホン酸ナトリウムによる抗炎症作用です
以上が成分の違いですがネオステリングリーンは抗菌作用があるのでつい積極的に使ってしまう方が想像以上に多いようです。中には自費で良いのでネオステリングリーンを多めにゆずってほしいと言い出す方もおられます。さらには毎日毎食後にかならず使うという方が多いのにはおどろかされます。
そこまでして手に入れたくなる理由は強い抗菌作用があることに加えてネオステリングリーンには特有の爽快感がありスッキリするからだと推測しています。
ただ爽快感があることや抗菌作用が強いのは良いことばかりではなく重篤な副作用を起こすこともありますのでそのことを考慮してえとう歯科では現在ネオステリングリーンを処方する機会をあえて少なくしています。
うがい薬は使用上の安全性を理解したうえで健康的に使う必要があります
それでは副作用についてご説明いたします
重篤な副作用は菌交代現象です
菌交代現象について
ネオステリングリーンは抗菌作用があるため長期使用により菌交代現象(菌交代症)を起こす可能性があります。この場合の菌交代現象とはネオステリングリーンを継続して使用したことによりネオステリングリーンに感受性のある菌が減少し、その代わりにそれまで抑えられていた菌が増殖して起こる現象です。具体的にはカンジダ症などです(カビ類が起こす症状)。
目的としていた薬理効果が進みすぎて別の症状を起こしてしまわないためにもネオステリングリーンを使用する場合はできるだけ短期間で切り上げる必要があります。
*ネオステリングリーンは普段使いには向かないと考えておいたほうが良いと思います。
一方でアズレイうがい液には抗菌作用はなく主な作用はアズレンスルホン酸ナトリウムによる抗炎症作用ですので菌交代現象は起こりません、がしかしこちらもダラダラと使い続けるべきではないと思います。
*アズレイうがい液の主な使用目的は起炎物質を抑え込むことと局所の治癒を促すことです。
ネオステリングリーンの代わりはリステリン
ネオステリングリーンは使い方さえきちんとしていれば体に対しても安全ですし効果もすぐれています。ただここまでの情報をふまえてさらに安心して日々お口を清潔にしておきたいのであれば市販薬のリステリンをおすすめします。
リステリンはすばらしい
リステリンは健康保険には含まれていませんがドラッグストアで容易に手に入りますので中長期的に口の中を清潔にする目的であればリステリンが特におすすめです。リステリンはいわゆるデンタルリンスの一種です。
抗菌作用があるけれども顕著な菌交代現象、あるいはそれに類似した現象が起こりにくいのがリステリンの良いところです。
リステリンにはいくつか種類がありますがクールミントのようにアルコール成分が含まれているものが特におすすめです。当医院では矯正治療の患者様に積極的にご案内しています。
矯正治療期間中は口の中がノーマルな状態ではないのでさまざまな工夫をしながら良好な口腔状態を維持できるようご指導しています。
詳しくは下記記事「薬用リステリンについて」をご覧ください。
最近はそのほかに
バイオティーンもおすすめしています
バイオティーンはうがい薬としても使用できますがどちらかと言うと口腔粘膜が乾燥しやすい方の保湿用におすすめしています。唾液の量が低下することなどにより口腔粘膜が乾燥するとむし歯になりやすくなったり滑舌が悪くなったりしますから一日数回バイオティーンを少量口に含み口腔内全体に行き渡らせて潤いをキープしておくことをおすすめします。
バイオティーンはリステリンと同様に市販薬です。
ネオステリングリーンは販売中止?
時々お電話やメールでネオステリングリーンの在庫や取り扱いがあるかどうかという内容の問い合わせをいただくことがあります。
何度か同じような問い合わせをいただくうちに私も気になってしまい思わず質問の真意をたずねてみたことがあるのですが、ネットでネオステリングリーンが販売中止になったと思わせるような記事が目につくようになり不安で確認してみたということのようです。
私の知る限りでは販売中止にはなってはいないようですし、問屋さんやメーカーからの入手も可能な状態が続いています。
人気と実績のある製品ですのでよほどのことがない限り販売中止にはならないと思います。
この記事のまとめ
えとう歯科では保険適用のうがい薬を2種類用意しています。ネオステリングリーンとアズレイうがい液です。日常的に使っていただくうがい薬は市販薬のリステリンをおすすめしています。
うがい薬は使い分けが大事、リステリン激推し