叢生は、日本人に非常に多く見られる歯列不正のひとつであり、見た目・健康面の両面から放置すべきではありません。そのようなちょっとした気づきが、将来のお口の健康を守る第一歩になります。
関連:乱ぐい歯(らんぐいば)、八重歯(やえば)
Contents
日本人に多い歯並びの乱れ『叢生』とは?その発生率と矯正の必要性
日本人に最も多い歯列不正は『叢生』です
日本人の歯並びの乱れの中で、最も多く見られるのが「叢生(そうせい)」です。
叢生とは、歯がガタガタに重なり合って生えている状態を指し、いわゆる「乱ぐい歯」や「八重歯」などもこの一種です。
実際、国内の調査や学術報告によると、歯列不正の中で約50〜60%が叢生に該当すると言われています。
特に日本人はあごが比較的小さく、歯が並ぶスペースが不足しやすいため、叢生が起こりやすい傾向があります。
叢生は見た目の問題だけでなく、将来的に虫歯や歯周病のリスク、かみ合わせの問題にもつながるため、早めの対処が大切です。
日本人における歯並びの異常の発生率
12歳時点で42.6%が歯列・咬合に異常あり
厚生労働省が実施した「令和5年 歯科疾患実態調査」によると、
12歳の子どもにおいて、実に42.6%が『歯列・咬合の異常』を抱えているという結果が出ています。
平成28年歯科疾患実態調査
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/62-28.html
これはつまり、およそ2人に1人が何らかの歯並びやかみ合わせの異常を持っているということになります。
この中には、叢生のほか、上顎前突(出っ歯)や反対咬合(受け口)、開咬(上下の歯が噛み合わない)なども含まれますが、叢生はその中でも最も頻度の高い不正咬合とされています。
叢生の割合は歯列不正の中で50〜60%
日本大学など複数の大学歯学部による臨床調査では、歯列不正の中で叢生が占める割合はおよそ50〜60%とされています。
つまり、歯列不正の中では叢生が圧倒的多数を占めることがわかります。
このことからも、「歯列不正=叢生」といっても過言ではないほど、日本人に多い症状なのです。
参考)
日本大学松戸歯学部 矯正学講座
論文:「不正咬合の発現頻度に関する疫学的研究」 (例:中学生・高校生における不正咬合の内訳 → 叢生:約50〜60%)
九州大学歯学部・昭和大学歯学部 なども同様の研究報告があります。
なぜ日本人に叢生が多いのか?
あごの大きさと歯のサイズのバランスの問題
叢生の大きな原因は、「歯が並ぶスペースが不足していること」です。
日本人は欧米人に比べて、あごの骨が小さめである傾向が強く、それに対して歯のサイズが相対的に大きいため、歯がきれいに並びきらずに重なって生えてしまうのです。
また、現代の食生活の変化によって、咀嚼回数の減少・顎の発達不足も叢生のリスクを高めていると考えられています。
叢生を放置するとどうなる?
むし歯・歯周病リスクの上昇
叢生の歯は歯ブラシが届きにくく、プラークが残りやすい状態です。
その結果、むし歯や歯周病のリスクが非常に高くなることがわかっています。
かみ合わせの問題による負担
上下の歯が適切に噛み合っていないと、咀嚼効率が悪くなるだけでなく、顎関節や全身のバランスにも影響を与えることがあります。
見た目のコンプレックスにも
叢生は見た目に強く影響するため、笑顔に自信が持てない・人前で口元を隠してしまうなど、心理的な影響も小さくありません。
叢生には矯正治療が有効です
叢生は、自然に治ることはほとんどありません。
しかし、矯正治療によって美しく整った歯並びを取り戻すことが可能です。
ワイヤー矯正とマウスピース矯正
叢生の矯正には主に以下の2種類があります。
- ワイヤー矯正(ブラケット矯正)
幅広い症例に対応可能で、特に重度の叢生にも有効です。 - マウスピース矯正
透明で目立ちにくく、軽度〜中等度の叢生にも対応可能。日常生活への負担も少ないのが魅力です。
患者さまの状態やご希望に合わせて、最適な方法をご提案します。
まとめ:叢生は多くの方が抱える悩みです。まずはご相談を
叢生は、日本人に非常に多く見られる歯列不正のひとつであり、見た目・健康面の両面から放置すべきではありません。
「これって矯正の対象になるのかな?」
「前歯だけがガタガタしていて気になる..」
そのようなちょっとした気づきが、将来のお口の健康を守る第一歩になります。
えとう歯科では、叢生をはじめとする矯正治療のご相談を随時受け付けています。
お気軽にご相談ください。
🌿 memo
叢生に関しては以下の記事も参考にしてください。
叢生(そうせい)でこぼこの歯並び
叢生の症例写真をご覧いただけます。